戦争前夜の「あんぱん」 – うさ子の変貌と豪の出征が予感させる物語の行方

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うさ子の変貌 – 穏やかな性格から軍国少女へ

師範学校での薙刀の稽古場。かつては「ボウフラ」と罵倒されていたうさ子が、今や別人のように変わってしまいました。のぶと対戦した際には圧倒的な強さを見せ、「学を修め、業を習い、以て智能を啓発」と力強く宣言するほどに。

黒井先生の教えに感化され、うさ子は見違えるほど強くなりました。かつての気弱さはどこへやら、今ではお国のために全身全霊を尽くす熱意に満ちあふれています。しかし、その変わりように周囲は戸惑いを隠せません。特にのぶは、親友の変化に心を痛めているようです。

「怖くなってる」「すっかり変わってしまった」「別人だね」「洗脳されるの怖い」「軍国少女になった」—多くの視聴者がうさ子の急激な変化に不安を覚えたことでしょう。あの優しく可愛らしかったうさ子の面影はもうないのでしょうか。

これから日本が戦争へと突き進む時代。教育の場でも国家主義が強まっていく中、うさ子のような素直で気弱な性格の人ほど、時代の波に飲み込まれやすかったのかもしれません。もしかしたら黒井先生自身も、かつてはうさ子のように変化した人なのかもしれないと想像してしまいます。

一方で、のぶはまだ「お国のため」より「家族」や「子どもたち」を大切にする気持ちを持ち続けています。うさ子に試合で負けたのぶの瞳に光った涙は、単に負けた悔しさではなく、親友が変わってしまったことへの悲しみだったのではないでしょうか。

これから戦争が始まり、小学校は国民学校になり、教師たちは軍国教育を施すことを求められていきます。軍や警察の締め付けだけでなく、同調圧力も高まっていく時代の中で、うさ子はこのまま軍国主義に染まってしまうのでしょうか。そして、のぶはどう立ち向かっていくのか。二人の友情は、この試練を乗り越えることができるのでしょうか。

敗戦後、価値観が大きく変わった時、うさ子や黒井先生はどのような心境になるのでしょう。戦前・戦中と戦後の価値観の激変の中で、彼女たちの心が壊れてしまわないか心配です。しかし、うさ子の本来の優しさは、いつか必ず戻ってくると信じたいですね。

のぶと共に、またかつてのように笑い合える日が来ることを願わずにはいられません。

東京高等芸術学校への道 – 嵩の夢と情熱

東京高等芸術学校の合格発表の日。柳井嵩は結果を見る勇気が出ず、一人ベンチに座り込んでいました。そこに伯父の寛が現れ、嵩の暗い表情を見て不合格だと勘違い。「絶望の隣は希望や」と温かい言葉をかけます。しかし嵩はまだ結果を見ていなかったのです。

寛は嵩の腕をつかみ、急いで掲示板へ向かいました。そこには確かに「柳井嵩」の名前が。晴れて東京高等芸術学校への入学が決まった瞬間です。寛は「お前が頑張った!」「ほんまようやった!」と大喜びで、嵩をしっかり抱きしめました。

この感動的な場面を、実は遠くから見つめる人がいました。それは一年前に家を出て行った母・登美子。手には手紙のようなものを持ち、抱き合う嵩と寛の姿を見て、静かにその場を去っていきました。

合格を喜ぶ嵩は、祝いに銀座の「美村屋」であんぱんを食べたいと言い出します。それは幼い頃、父・清や母・登美子、弟・千尋と一緒に食べた「幸せの記憶」として心に残っていたから。あんぱんを待つ間、店内に飾られていた写真に目をやると、そこには風来坊のパン職人・草吉(ヤムおんちゃん)の姿も。

嵩の合格に喜ぶ人々の中で、健ちゃんの姿はありませんでした。高橋文哉さん演じる辛島健太郎は、嵩と同じ夢を追っていた友人。合格発表の掲示板に彼の名前はなかったようです。しかし、次回予告では嵩と一緒にいる姿が。二人の友情はこれからどう続いていくのでしょうか。

嵩は「幸せの記憶」をたどって、過去のつらい経験を乗り越え、自分の夢を叶えるための一歩を踏み出しました。しかし、これからは戦争の時代。彼の芸術への情熱は、時代の荒波の中でどのように育まれていくのでしょうか。

寛の「なんのために生まれて何のために生きるか、それは人を喜ばせることや」という言葉は、後の嵩の人生に大きな影響を与えることでしょう。この言葉こそ、のちに「アンパンマン」が生まれる種になるのかもしれません。

こうして嵩は東京で芸術を学ぶ日々を始めますが、それは同時に、のぶとの距離が物理的にも心理的にも広がっていくことを意味します。高知と東京、遠く離れた二人は、これからどのように思いを通わせていくのでしょうか。そして、この先待ち受ける戦争の時代を、二人はどう乗り越えていくのでしょう。

豪の出征 – 戦争に翻弄される若者たちの運命

次週予告で明らかになった衝撃の展開。原豪が出征することになったのです。1937年、日中戦争が勃発し、多くの若者が戦地へと送られていく時代。豪もその一人となってしまいました。

壮行会の場面で、蘭子は「絶対にもんてきてよ(戻ってきてよ)」と涙ながらに訴えかけます。彼女の切ない表情と言葉に、視聴者からは「豪ちゃん、ウソでしょ…」「蘭子ちゃんのためにも、絶対生きて帰って」「蘭子の『絶対にもんてきてよ』。既に泣きそう」といった声が上がりました。

ヤムおんちゃんの「戦争なんて、いい奴からいなくなるんだ」という言葉と共に画面に映し出されたのは豪の姿。このセリフが豪の運命を暗示しているのではないかと、多くの視聴者が不安を感じています。

豪と蘭子は、作中で徐々に親しくなり、お互いの気持ちを確かめ合う関係になってきていました。釜次の「豪、どうな?のぶと石屋やらんか」という提案に、蘭子が豪を見つめるシーンも印象的でした。二人の関係が深まりつつある中での出征は、あまりにも残酷です。

朝ドラの脚本を手がける中園ミホ氏は、インタビューで今年が戦争80年という節目であることもあり、朝ドラとしては異例ともいえるほど時間をかけて戦争から終戦までを描くと語っています。やなせたかしさんの「アンパンマン」が生まれた背景には戦争があり、その悲惨さや非情さを逃げずに描くことに力を入れているようです。

豪の出征は、物語がいよいよ戦争の時代へと突入することを意味します。これからは見る側も辛い展開を覚悟しなければなりません。のぶ側の話は完全なフィクションですが、嵩側はある程度史実に基づいているため、厳しい現実が待っていることでしょう。

「あんぱん」の公式ストーリーでは「嵩は弟・千尋を戦争で亡くし、のぶも最愛の人を亡くしました」とあります。嵩の弟・千尋が戦争で亡くなることは史実に基づくものですが、のぶの「最愛の人」とは誰を指すのでしょうか。家族同然に過ごしてきた豪のことなのでしょうか。

戦前、戦中、そして戦後へと続く激動の時代の中で、若者たちはどのように生き抜いていくのか。豪は蘭子の元へ無事に戻ってくることができるのか。そして、のぶと嵩の距離が離れていく中、二人の関係はどうなっていくのか。これからの展開から目が離せません。

ヤムおんちゃんの謎めく過去 – 美村屋との意外な繋がり

嵩が東京高等芸術学校に合格した喜びを抱きながら訪れた銀座の「美村屋」。そこで嵩は店内に飾られていた写真に目を留めました。職人たちが並ぶその写真の中に、なんとヤムおんちゃんこと屋村草吉の姿があったのです。この一瞬の場面に、視聴者からは驚きの声が上がりました。

全国を旅しながらパンを焼いていた風来坊のパン職人・草吉。のぶから懇願され、「朝田パン」開店に協力してきました。ぶっきらぼうな態度ながらも、元気のないのぶや嵩を気にかけて焼きたてのパンを振る舞い、彼らの表情を笑顔に変えてきた温かい人物です。

これまで過去を語らず謎に包まれていた草吉が、かつて老舗の銀座「美村屋」で職人として働いていたことが明らかになりました。「ヤムさんの過去が判明」「美村屋にいたなんて」「やっぱり老舗の職人だったのか」「嵩がお父さんと食べたあんぱんは、ヤムさんが焼いていたのかも」「不思議な縁がある」「胸熱な展開」と、SNSでは「ヤムおんちゃん」「ヤムさん」「ヤムおじさん」などの関連ワードがトレンド入りするほどの反響がありました。

実は「屋村」という名前と「美村屋」の名前にも繋がりがあるのではないかという推測も。「美村屋の看板を左から読んだら『屋村』」「屋村は美村屋からとった偽名なんかね」といった声も視聴者から上がっています。

さらに興味深いのは、嵩が幼い頃に父・清や母・登美子、弟・千尋と一緒に食べた「幸せの記憶」としてのあんぱんが、もしかしたらヤムおんちゃんが焼いたものだったのかもしれないという可能性。「嵩が父親と食べたあんぱんはヤムさんが焼いていたのかも」という視聴者の指摘は、新たな物語の伏線を感じさせます。

ヤムおんちゃんは朝田家とも一緒に食事をしないことが多く、子どもには優しいけれど大人には厳しい態度を取ることもあります。彼の過去には何か家族にまつわるトラウマとなる出来事があったのでしょうか。「朝田家とはご飯も一緒に食べないみたいだし、子供には優しいけど大人にはがめついし、過去に何か家族にまつわるトラウマになるような出来事があったのかもね」という視聴者の考察もあります。

嵩の合格祝いに特大の「祝」あんぱんを作り、駅まで出迎えに来たヤムおんちゃん。表面上はぶっきらぼうながらも、心優しい彼の真の姿が少しずつ明らかになってきています。そして、「美村屋」との繋がりという新たな謎も加わりました。彼の過去が語られる日は、きっとまた視聴者の心を揺さぶることでしょう。

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