朝ドラ「虎に翼」寅子、出産シーンはなし!よねさんの扱い、難しい・・・

虎に翼

第39話は、講演会で倒れてしまった佐田寅子(伊藤沙莉)。雲野六郎(塚地武雅)らは穂高重親(小林薫)から寅子の事情を聞き、今は育児専念の時だと諭した。寅子は山田よね(土居志央梨)が働くカフェー「燈台」へ。よねは町の法律相談を担っていた。寅子は妊娠を黙っていたことをわびるが、よねは背を向け…という展開。

主人公は懐妊に伴う身体的な変化と仕事の厳しさ、そして精神的なバランスが危うい状態に立っていました。ほんの些細なきっかけで、すぐにでも折れてしまいそうな状況だったのです。そして、そのバランスが崩れてしまったときに味わう悔しさと虚脱感が、画面を通じてひしひしと伝わってきました。短い平和な日々がいつまで続くのか、不安が募ります。

花岡もそうですが、よねも寅子のことを考えての冷たさであることを願いたいと思いました。今週は未亡人満智の失態を自分が全部背負わなければならないという寅子の猪突猛進な性格が、弁護士としての仕事に障害をもたらしている様子が描かれていました。しかし、いったん休むことで新たに見えてくることもあり、さらなる飛躍を期待しています。それにしても、よねがカフェで困っている人の相談に乗っている姿が、弁護士らしく見えましたね。また、花江と寅子の距離が縮まったのも微笑ましく、さまざまな生き方をする女性たちの対比が興味深かったです。

同じ目標を持ち、切磋琢磨してきた二人。先に道を拓いた者は後に続く者のためにその道を守ろうと必死になり、後に続こうとする者もまた、先に行った者のために早くたどり着こうと必死になる。その思いがすれ違ってしまうことが辛いです。

よねさんもその状況を目の当たりにしてきましたし、久保田先輩も言っていました。結婚しなければ半人前、結婚すれば仕事も家庭も完璧にこなすことを求められる現状の中で、幾度も悩み、挫けそうになりながらも、必死に寅子は道を繋いできました。

「私はどうしたら良かったの?」と寅子が自問する中、彼女の人生の選択に本来ならよねさんの許可は必要ないはずです。しかし、共に困難な道を歩んできた仲間だからこそ、認めてほしかったのかもしれません。

よねさんが寅子を突き放したのは、「弁護士資格は持っているのだから復帰はいつでも出来る」という言葉が、なかなか合格できないよねさんにとっては引き金となったのかもしれません。

今でも「マタハラ」という言葉を耳にしますが、この時代はさらに言いづらかったのでしょう。言ってほしかったけれど、言える雰囲気ではなかったのだと思います。しかし、それが仕事や友情の分断を招くのは、昔も今も変わらない問題です。私もよねさんの発言には寅子と同じように悲しさと苛立ちを感じます。

よねさんは、頼ってほしかったのだろうと思います。もし「ひとりじゃない」と言ったときに、トラちゃんが打ち明けてくれたら、また違った展開になっていたかもしれません。しかし、適切に他人に頼ることは難しいと感じます。現代でも同様です。

トラちゃんにとって、妊娠を事務所に言わないことが出産ギリギリまで職務を全うするための選択だったのでしょう。しかし、今週のトラちゃんは体調の影響か、ずっと混乱しており、これまでの理路整然としたトラちゃんではありませんでした。優秀な人でも根回しを誤ることがあり、それもまた人間らしいことなのだと感じました。

街のよろず法律相談は、本当に素晴らしい仕事をしていますね。燈台のマスターも、よねさんをいちばん頼りにしているのではないでしょうか。法的な手続きや判断は弁護士資格がないとできないことも多いですが、市民の相談事に対して「何に悩んでいるのか、何が問題で何が必要か」という仕分けは助手が行った方が良い場合もあります。久保田先輩から引き継いだ読者相談コーナーで徹夜していた寅ちゃんも、きっと助けになったのではないでしょうか。よねさんもまた、そうしたことを寅ちゃんに伝えなかったため、頼ってもらえなかったのかもしれません。どちらもどちらですね。

他の方のコメントにもありましたが、寅ちゃんの「ハテ?」がほとんど聞かれない日々でした。自分でも何が分からないのか、どうすれば良かったのか混乱していたのでしょう。目の前の問題をただひたすら受け入れ、こなしていくしかありませんでした。戦争、妊娠、先輩達の離脱、友人との決別など、様々な事が重なって壊れてしまう寸前でした。六法全書を胸に独りでむせび泣く寅ちゃんに、もらい泣きしてしまいました。

トラちゃんの対応が後手後手となり、その結果として周りを傷つけ、自分にも返ってきてしまった印象です。よねに「ひとりじゃない」と言わせてしまったのがその伏線でしょう。相談はとても大事なことだと感じました。

志半ばで去っていった仲間や先輩たち同様、寅子も弁護士を辞める選択を余儀なくされました。よねは寅子に「できる限りのことはする、お前はひとりじゃない」と言ってくれたのに、妊娠のことを知らされず信じられない思いだったのでしょう。社会的地位を得るために結婚したことが、結果として弁護士を辞めざるを得なくなったことに繋がったのは、なんとも皮肉です。

自分のことで精いっぱいの時には、周りは見えないものです。「なんで自分だけ」という思考回路になってしまいます。昨日の穂高先生とトラちゃんのやり取りをよねさんが見ていたら、また違ったのかもしれませんね。寿退社・おめでた退社で涙を呑むのは、昭和頃まで当たり前だった事実です。

今日もコメントしたいシーンが多すぎました。カフェー燈台でトラちゃんがよねちゃんに妊娠を黙っていたことを謝るシーンでは、目に涙をためてよねちゃんの背中に話すトラちゃんの姿が印象的でした。トラちゃんの視線を感じながらも、突き放すような言葉を返すよねちゃん。切なそうな表情が胸に刺さりました。よねちゃん自身、弟たちやカフェーのお姉さんたちに出産された方もいたかもしれません。出産子育ての大変さを知っているからこそ、トラちゃんを突き放し、戻ってくるなと言ったのかもしれません。

今日の「虎に翼」は、15分間で、寅子の妊娠が雲野弁護士に発覚し、よねが出て行き、寅子がよねを追って謝罪し、事務所を退職し、引っ越し、出産、家事・育児と慌ただしかったですね。よねは怒っていましたが、妊娠を寅子が告げてくれず、同士だと思っていたのに疎外感を感じて寂しかったのでしょう。元同級生、現同僚を越えて友情も感じていたのに、裏切られた思いだったのだと思います。口下手だから、よねは上手く表現できず、乱暴な言い方になってしまったのでしょう。

気になったのは、カフェ灯台でよねが女性の法律相談を聞き、「書類を出しておくから」と言っていたことです。弁護士でないのに、問題にならないでしょうか。

戦時中は特に、女性の大切な仕事は子どもを産み育てることという時代だったから仕方ないとはいえ、穂高先生や事務所の人たちの行動・発言を善意で見ても、マタハラ禁止や個人のプライバシー配慮が当たり前の現代に見ると驚きます。

よねとは関係修復が不可能になってしまったのでしょうか。悲しいことです。妊娠を黙っていたことについて、穂高教授、雲野弁護士、岩居たちが「後は我々に任せたまえ。君はしばらく休みたまえ」と言ってくれましたが、何も言わず背を向けたよね。カフェーでは軍歌が流れ、よねは法律相談を受けていました。自分一人で勝手に悲劇のヒロインを演じているように見えるよねに対し、寅子はどうしようもない思いだったのでしょう。

最後に、誰かが会いに来たようで、また明日も楽しみにしています。

先日のあさイチによねさんが出演していたので、このまま戦後になるのでしょうか。カフェーも含め東京は焼け野原になるでしょうし、よねも暫くは映らないかもしれません。

「らんまん」の時、バー様(松坂慶子さん)が言っていました。「何かを選ぶことは、何かを捨てることじゃ」と。人生はこの繰り返しなのです。全てを自分に都合よく得ようとすることは、強欲であり傲慢です。

それにしても、寅の旦那や同僚弁護士たちに赤紙が来ないのはなぜでしょうか。戦況が逼迫している時に特権階級が兵役免除なのかと疑問が残ります。

ずっと思っていましたが、よねのいつも怒っているような描写がマンネリでつまらないです。笑顔くらい見せてほしいものです。強面マスターが笑わせようとおちゃらけた顔をしても、何かぶつけられそうな雰囲気ですね。

「地獄の日々」とは何が地獄なのか、言っている意味が分かりません。よねは失礼なやつだ、生まれてくる赤ん坊に謝れ。こんな人間はどんな時代、どんな場所でもアウトです。戦争に駆り出されていく若い男子の方がよほど地獄です。

産休の概念がないなら、尾野真千子さんに説明してもらいたいです。よねの性格は弁護士向きではなく、依頼人に怒鳴りそうです。

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