朝ドラ「らんまん」田邊教授のやけ酒を心配する聡子

万太郎(神木さん)はムジナモの論文を書き直したが、田邊の気持ちは変わらなかった。万太郎は田邊の家を訪れたが、田邊は「二度と来るな」とバッサリ切り捨てた。

さらに、「私も図鑑を作ることにしたんだ。『大日本植物図解』とでも言おうか。君の仕事とぶつかるね。だから、大学の出入りを禁ずる」と伝え、「君が刊行を諦め、私に尽くすなら……考えてもいいがね」と言った。万太郎の意思を確認した後、「私の魂は自由だ。決して誰にも縛られない」と英語で宣言し、「これは祝杯だ」とニヤリと追加の酒を持って来させた妻の聡子(中田青渚さん)に言った。

昨日は、要潤さん演じる田邊教授が独りでバイオリンを演奏する姿で幕を閉じました。あの音色は何となく物悲しさが漂っており、教授の孤独感が際立っていましたね。万太郎から「泥棒と同じだ!」といった悪口を浴びせられた後だけに、教授自身も後味の悪さは格別だったと思います。演出の妙もあったと思いますが、要さんはそこをホント上手く演技していたと思います。 今回の教授の怒り(妬みでもあるか?)は当分収まらないでしょうが、朝ドラだからこそ紆余曲折はあっても、教授と万太郎の関係は良い方向に向かうと思います。そうで無くては後味の悪いドラマになってしまうからです笑。

万太郎が本当に純粋に日本の植物学を発展させたいと思うのであれば、田邊教授に協力して植物図鑑の完成に尽力することをお勧めします。しかし、それをしないのは結局万太郎が主導で作りたいからでしょう。それならば、東大に堂々と通えるように以前に教授に言われたように学生になるか、留学するべきです。それをせずに言わば特例で大学を使用させてもらうなら、我を押し通すべきではありません。今万太郎がすべきことはよく考えて、自分がこれからしたいことに優先順位をつけることです。

自分ならどうするかなと考えました。妻がいて、子供がいて、そして間もなく新しい命が誕生します……自分なら「すいませんでした!」と頭を下げて教授のものになってしまうかもしれません。とりあえず食べられるように頭を下げて安全を選ぶかもしれません。万太郎はどうするのでしょうか。これからの展開が楽しみです。

田邊教授、なんか憎めないですよね。背中を丸めて、ブランデーを一本空けていました。ちょっとキツそうに飲んでいたストレート、キツいですよね。チョッキも着ていました。似合うように見えますね、チョッキ。色違いもたくさん持ってそうですね、チョッキ。何着持っているのでしょうか、チョッキ。祝杯だよと言いながら、ちょっと寂しそうに見えました。やけ酒にも見えますね。万太郎に裏切られ、フラれ、強がってきた男だけに、万太郎との決別は自由になれた気もしつつ、寂しい思いもしていたのでしょう。

万太郎は教授に感謝しています。そして、その恩返しとして日本の植物学をもっと発展させて世界にも認めてもらおうとしたのですが、教授が求める恩返しとは「日本の植物学を」ではなく「私の名前」を広めてほしいということでした……。

田邊教授は、組織人としてはあのように伝えるほかなかったのでしょう。野良学者に温情を与えたはずなのに、彼なりに筋を通したのだと思います。在野の天才に大衆は憧れますが、大多数の人間は教授や学生たちのように生きるしかありません。

後に田邊(矢田部)教授が非職処分を受けることからも推測できますが、よりよい研究環境を得るには、プライドがぶつかり合う学内政治に心身を削る必要があります。現代でも、どこの大学でも、アカハラ、研究費流用、剽窃、他不正等々、虚実取り混ぜて怪情報が巡っています。東大も例外ではありません。

万太郎はいいところ取りをしているだけです。そういう現実を回避して、好きという気持ちだけで名誉を奪うのは非礼です。教授には葛藤があったでしょう。ただ、現実は曲げられない。

地位も名誉もいらず、ほんとうに植物研究に貢献したいだけなら、自分の名前は控えて、教授の図鑑に尽力すればいいのに、と思ってしまいました。むしろそういう人は多いでしょう。

シャーロック・ホームズが自分は表に出ず、事件解決を担当刑事の手柄にしていたのはお決まりのパターンです。子どもの頃はこの機微がよく分かりませんでしたが、今ならよく分かります。

今後の植物学の発展のカギ(あくまで物語上ですがw)を握っているのは聡子さんなんじゃないかと・・・中田青渚さんの演技に期待します。

史実によれば、学歴や大学が大嫌いだったようです。生活の困窮を救おうとする周囲の人たちから、安定収入を得るため大学に誘われても、断り続けていたようです。この人にとって学問とは、大学の枠の中にあるものではなく、大学にあっては実現できないものだったのでしょうね。

田邊教授が大窪さんのように、自分の地位など関係なく、「万太郎の植物学にかける思いに触れたい」と思うことができたなら、社会的地位と利権がチラつき、絶対そうはなれないでしょう。もし起きた場合、世界から注目を浴びる凄い論文が書けそうですが。

ただ草花が好きな気持ちだけで走れる万太郎。咲かない花さえ咲かせてしまう万太郎。地位も利権も手にしているはずなのに、教授の万太郎に抱く敗北感。その敗北感を拭い去ったつもり。けれど、出禁だけでは全てを払拭することはできないことを、やがて教授も悟るはずです。悲しい酒だな。

東大を普通に卒業して、従来型の日本企業で給料をもらう一人としては、どうしても田邊教授に共感してしまう。社会というものを知らず、実家のお金を使いまくって、突出した成果を上げてしまう。ただの植物バカならまだしも、新種に自分の名前を残すことに異常なまでにこだわる。伝記で読む分にはいいが、実際に近くにいてほしくはない。

田邊邸にて

田邊教授「徳永や大窪より、君は有能だ。」 田邊教授「東大受験するか、留学するといい。」 田邊教授「新種を発見したら報酬もやる。名前にはマキノイと入れてあげよう。」 万太郎「草花の子たちが可愛いから、自分で名付け親になりたいです。」

本日放送分の田邊邸

万太郎「わしは何も持っとりません。身分も地位も。」

田邊教授に歩み寄れば、大学職員の地位は確保できたはずだ。万太郎は地位のことをこの時期になって嘆いているのです。しかも、「植物学では田邊教授と私は同じ志」と言っていたら、日本の植物学発展のために田邊教授と組めばいいのにと思いました。

万太郎は、完全に自己矛盾に陥っていると思いました。

伊藤孝光に言わせると、「田邊教授は泥棒教授」。

田邊教授の求めるものは「研究成果、自分の名声、地位向上」であり、万太郎の求めるものは「日本そして世界の植物学の発展で、東大に恩返し。ただし、愛する植物の名付け親は自分」でした。

実質的な師弟関係なのに、平行線を辿っているようでした。

藤丸くんが言う通り、誰が名付けても花は花です。

博物館の里中(いとうせいこうさん)の言う通り、「可憐な花で人間が争ってるんだね。」みんなで研究して、更新していくのが学問として健全なことです。

そろそろ、「万太郎の心の友」野田先生(田辺誠一さん)たすけて!!

徳永助教が帰って来るまでで、教授は東大を去ることになりました。植物の類い希なる才をgiftするも周りへの配慮を備え付け忘れた天の修正が入る、これは当に天の思し召し。

自分の立場を脅かす自分より才能のある人物を潰すことが出来た安堵感と、日本の植物学の発展を遅らせる罪悪感が混ざっていたんじゃないかと思います。

自分の手元に置いておいたら、万太郎の活躍はないと思い、海外へ送り出すために、あのようにふるまっているのではなかろうか……と思いたいです。

田鍋教授は「If you need somebody, call my name」、万太郎は「If you love somebody, set them free」と言っていました。

これを見ている視聴者も、呟かないと気がすまないのでしょうか。

氷川誠がアギトの力を貰えなかったから、やっとその思いを晴らせ(笑)。

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